ざわざわと硝子戸の向かうにゆれてゐる大いなる影はパンダヌスの森
雲が街を光と翳に区切りゆく死はさながらに他人事に似て
「辞世とは生きる人への礼儀だ」と言った鶴見俊輔の言葉を借り
著者は、自分の言葉を残すために短歌を詠む。2015年12月刊。
装画:田中一村。