寄す波の昼静かなる町に来て夫と訪ねし潮騒を聴く
夕べくりやに独り遊びをするごとく胡瓜を揉めば胡瓜が匂ふ
倉敷市南端の下津井に生まれ、児島に住む著者は、27年前に夫を亡くし
魂鎮めにと短歌を詠むようになった。寄せては返す波のように、亡き夫を
悼み、独りの暮らしを寂しみ、ときには華やいだ気持ちで街に出て行く。
2016年10月刊。